コラム

『人生のマップは自分で描ける』進み方の自由

人生には“決まったルート”があるように感じていた

学校、就職、結婚、家庭。誰かが引いたレールの上を、迷わず進むことが「正解」だと思っていた

まるでゲームで最短ルートを辿るように、無駄なく、効率的に生きるのが正しいと

でもあるとき、ふと思った「本当にそれが自分の望む生き方なんだろうか?」って

レールから外れた瞬間

僕が“レールを外れた”と強く感じたのは、10年続けた飲食の仕事を辞めたときだった

周囲からは「もったいない」とか「安定してたのに」って言われたけど、正直、心はとっくに疲れきってた。続けていたら、もっと壊れてたかもしれない

次に選んだのは、まったく別の世界である介護の仕事だった

元々看護科に通っていたこともあって知識だけはあったものの、現場は教科書通りには行かなかった

覚えることも多いし、慣れない環境で戸惑うことばかりだったけど、それまで見えてなかった「人との距離感」や「生きることへの向き合い方」に出会えた

あのとき、レールから降りたからこそ描けた『新しい地図』がある

それは、今の僕の大切な一部になっている

自分の地図を描き始めて見えてきたもの

介護の仕事を始めてから、僕の中で少しずつ「生きること」の輪郭が変わっていった

たとえば、毎日同じように見える日々の中にも、小さな気づきや感情の動きがあること

ふとした会話や、相手の表情の変化に心が動かされるようになった

飲食業のときは、スピードと効率が最優先だった

いかに早く、いかに無駄なく、決められた仕事をこなすかばかり考えていた

でも今は、目の前の人に寄り添うことが一番大事なことだと感じている

自分の地図を自分で描くって、何か特別なことをするわけじゃない

ただ「これが自分の道だ」と納得できる選択を、ひとつずつ重ねていくことなんだと思う

そう気づいたとき、不安はゼロにはならないけど「歩いていける」って思えた

それに、自分の選んだルートには、自然と責任と愛着が生まれてくる

うまくいかなかったことも、「あのときこう思って決めた」って言えると、後悔じゃなくて経験になる

その時は苦しいかもしれないけど、自分で選んだのならばと、前向きに捉えることができるようになってくる

寄り道の中にしかないもの

ゲームでも、つい本筋とは関係ないサブクエストに夢中になることがある

町の片隅で出会ったキャラのひとこと、ただの寄り道のはずが、心に残ってたりする

人生も似ている。たとえば、予定がなくなってしまった時にふらっと立ち寄ったカフェで、新しい趣味の話が聞けたり。たまたま見ていたSNSでフォロワーさんが近くにいて一緒にご飯をしたり。そういう“計画外の出会い”って、あとから思えば不思議と宝物みたいな存在になってたりする

「ムダかも」と思っても、実はムダじゃない

むしろ、そういう時間にこそ、自分らしさがにじみ出ている気がする

昔、ひとりで旅をしたとき、目的地に着くまでの道のりで地元の人と立ち話したり、観光スポットじゃない普通の公園でのんびりした時間が、結果的に一番印象に残ったことがあった

目的に向かうだけが旅じゃない。人生もきっと同じなんだと思う

自分のペースで、地図を描く

最近は、「どこへ行くか」より「どうやって進むか」を大事にしたいと思ってる。SNSを見れば、すごいスピードで前に進んでる人がたくさんいる。でも、自分はそのペースじゃないってだけで、焦る必要なんてない

マップの描き方は人それぞれ。誰かの線をなぞるんじゃなくて、自分の手で一本ずつ、ゆっくり線を引いていけばいい

僕はまだ完成してない。むしろ、白紙の部分のほうが多い。でも、それでいい。その余白こそが、これからの自由を表している気がする

そして何より、自分のマップを描くってことは、自分の人生に責任を持つってことでもある。誰のせいにもせず、「今ここにいるのは、自分の選んだ道なんだ」って思えること。それって、すごく強いことだと思う

それに、歩いた道を振り返ったとき、「ああ、自分らしく生きたな」って思えることが、きっと何よりの幸せなんだと思う

最後に──迷っても大丈夫

迷ったり、立ち止まったりしても、それも“道”の一部。ゲームでいえば、たまにはマップを開いて確認したり、わざと遠回りしたり、隠し要素を探したり

それと同じで、人生にも「無駄に見えて実は必要な時間」がある

自分だけのマップは、まだまだこれから広がっていく

思いもよらない方向に道が続いてるかもしれないし、思わぬところで誰かと交差するかもしれない

だから、焦らずいこう。歩くペースを決めるのは、いつだって自分なんだから

自分の人生を、自分の足で歩く

それが何より、大切なことなんだと思う

これまでの旅路に、自信がなくなる日もあるかもしれない

でも、自分が描いたマップには、自分だけの物語が詰まっている

その物語を信じて、一歩ずつ進んでいこう

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